価値へのこだわりとAIビジネス最前線-2018-
世の中にはバズワードで装飾された偽物も多く、トレンドを見極めるには意図的に冷めた目が必要である。
ブロックチェーン, AI, IoT, デジタルマーケティング・・
これらが偽物という訳ではなく、現状の技術レベルや実現性を正しく認識せず、「何でもバズワードをくっつけておけばok」みたいなしょうもないプロダクトやマーケティングはいかがなものかと思う。
やはり弊社は「本質的な価値」を追い求め、提供していきたい。
例えばAIについても、
- それってAIじゃなくてルールベースで動く自動プログラムですよね?
- ディープラーニングは機械学習の延長であって、2010年のReLUの発明により勾配消失問題が解決され、ニューラルネットワークが多層化されたことにより劇的に精度が上がってきた、というのが正しい事実で、既に何でも解決できる「汎用型AI」になっている訳ではない。
- 基本は重回帰分析で学習データが肝なのに、そのデータの少なさで何故汎用的と言えるのか?
など、様々なAI風プロダクトを見せられた時にツッコミたくなるのである。
実は、正しく理解している技術者ほど、「ディープラーニングは可能性がある技術だけど、現状はまだまだR&Dの段階で実用化には時間がかかる」と口を揃える。
とは言え自動運転はかなり進んできているし、FA(ファクトリーオートメーション)の分野もAIが活躍し始めている。というより経済インパクトと技術的な実現性を考慮した時、FAへのAI活用が最も適しているとも言えるからだ。
あとは医療と金融か。
この辺はAIの中でも特に進んでいる画像認識技術でかなり効率化できる。医療での活用は想像しやすいと思うが、金融については、実は資産運用会社もチャートの画像認識による分析が行われていたりする。
製造・医療・金融の3つで莫大なマーケットになるので、AI技術者やプロダクト会社はこの辺りを集中的に狙うのが成功への近道かもしれない。
あるいはweb広告分野で、強化学習を活用したDSPの最適化なども面白いし市場もそれなりに大きいが、まあこれは大手広告配信会社がこぞって内製化しているところだろう。仮に最適化アルゴリズムだけを開発できても、結局タグを幅広く埋め込んで面をとっているDSP会社と組む必要があるので、うまくいけば買収されたり出資されたりするかもしれないが、普通は自社で内製化するはず。
あとは参入障壁が低くてすぐに収益化できそうなのは、「web接客ツール x AI」だが、これは大体偽物のAIだし簡単に開発できるレベルならすぐにパクられて低価格競争に突入してそもそも市場もでかくないから誰も儲からないのにやってる、みたいなことになりがち。(話は逸れるが差別化できないSaaSの低価格競争は本当に辛い)
ブロックチェーンについては、しばらくは決済を中心とする「トランザクションの正当性の証明」に活用されると思うが、またいつか記事にまとめようと思う。
個人的には、世界は金融による支配からデータによる支配に変わりつつあると思うので、その視点で言えばAIやIoT、あと脳波の研究なんかにも合点がいく。
ブロックチェーンではないが、それこそ世界は中央集権型なので、最終的には脳波などを活用して人々の思考を収集したいのでは?なんて考えたりもするがそれはまた別の話。
ともかく今我々がやるべきことは、バズワードに踊らされず、本質的な価値を見出せた時は世の中に対して逆張りすることも恐れず、常に誠実にサービス提供をしていくことだろう。
ハートは熱く、頭はクールに、である。
x-climb CEO飯降